どこかの大学で募集をしていたら、そのときに、3本ほど論文の実物かコピーを提出するようにと言われる。さて、この3本ほどの論文であるが、自分の一番の自信作を3本ほど選んで提出することになる。

審査する方だが、実はあまり審査できる人はいない。学会の投稿論文ならばその専門分野に近い人がいてある程度はきちんとした審査ができるのだが、一つの大学内では募集に応募してきた人の論文をきちんと審査できる人は少ない。

それは各自の専門性の違いである。最近は専門性が細分化して、専門が少しでも違う人の論文は評価しづらい。であるから、すでに審査済みの学会投稿論文などは、ある程度はきちんとした論文だろうと考えて安心して読んでいける。

若い人の論文などは、未審査の論文などがある。そんな時には、審査する人はどこを見ていくか。目次、論文の論理の流れ、引用がきちんとされているか、そんな点を見ていくのだ。要は形式的な面をみていく。形式的な面がしっかりしていれば内容もしっかりしているだろうと推測するわけだ。

面接も同じである。髪の毛がとかしてあり、ネクタイを付けていて、ちゃんとした背広を着ていて、靴が磨いてあるとする。すると、この人は外見は大丈夫だから、中身も大丈夫だろうと推察するわけである。

であるから、論文を書くときは、形式をちゃんとすることである。以下の点はちゃんと書くこと。専門外の人が審査するときに最も目をつけられる箇所だ。

(1)タイトルとその英訳(英訳は必ずネイティブに見てもらう。単なるネイティブではなくて、大学関係の論文の書き方に熟知しているネイティブにチェックしてもらう)

(2)キーワード(応募するときは、募集分野とキーワードが一致することが必要)

(3)概要(ここしか、読まない審査委員も多いので、きちんと書くこと。執筆者の多くは、本文を書くことで疲れ果ててしまい、概要はいい加減に書く場合もあるが、ここも大切である)

(4)文献一覧(本文に引用があるのに、文献一覧表に掲載がなかったりすると、審査委員の印象がとたんに悪くなる。本文に引用・参照と文献一覧表はきちんと対応させること、年も対応させること)

(5)URLを引用するときは、検索した年・月・日も書くこと。これがあると精緻な論文という印象を与える。

以上、形式的な面も大事であること、特に専門外の方が審査委員になったときは、注目されるだろう点を述べた。審査委員会は専門外の先生が多数を占める可能性が高いので、形式面がむしろ重要かもしれない。