高等学校をはじめとして中学校や小学校の校長先生は退職後に大学に招聘される可能性がある。特に可能性の高いのは高等学校の校長先生であろう。

今、弱小の大学は学生を集めるのに四苦八苦している。その時に、高等学校の元校長であった人は大きな働きができる。大学で採用となれば、入試担当者に各高等学校の学生の実態をはっきりと伝えることができる。入試担当者が高等学校まわりをするときは、同行することができる。

各大学の入試担当者が高校まわりをするときは、高校の進路指導担当者が応対するが、進路指導担当者は3年生担当の教員で忙しい。大学の入試担当者だけで訪問しても、口ではニコニコ笑って応対していても、本音は早くお話が終わってほしいと思っていることが多い。そんな時には、元校長が同行となると、各高校での応対が異なる。校長先生同士は互いに顔見知りであり、進路指導室ではなくて、校長室に招き入れられることが多い。そして、そこでは、いろいろと貴重な情報が得られることも多い。

元校長先生が大学で勤務する場合だが、3つのケースがあろう。一つは事務局長としての採用だ。管理職であった経験を積んでいるので、大学での管理職も比較的容易になれる。次は、入試室などの室長としての勤務である。あるいは、教職対策室の室長である。教職対策室は教員を希望する学生へのアドバイスや実習校との連絡をする係りである。三番目は教員としての採用である。それは、高等学校や中学校や小学校での教員を目指す学生の多い学部、つまり教育学部での教員としての採用である。

通常は、大学の教員の採用には論文数がある程度必要とか、修士号とか博士号が必要となる。しかし、元校長ならば、実務経験が論文数の不足を補うと見なされて採用となることがある。もしも、教育委員会で指導主事として勤務していた経験があるならば、小論をいくつか書いたことがあるかもしれない。それらがあると採用の時の追い風となる。教授は無理としても、准教授として採用で、数年の間に紀要などに論文を書くと教授に昇格になるのだ。

ただ、これらの人事が公的に募集となることはない。採用はコネによることがほとんどである。大学の理事長や学長などの知人や知人の紹介での採用だ。

これらは、何か準備してなれるものではなくて、たまたま声を掛けられたという例が多いので、いわば、運任せと言えるだろう。とにかく、定年が近づいている校長ならば、そのような形で声がかかる場合もある。できるだけ、大学の偉い人とはつながっていた方がいいのだ。