今、世間では福田次官のセクハラ問題が大きな話題になっている。福田次官は辞任したが、新潮社を訴えると述べている。当初は、単純なセクハラ事件かと思ったら、事情はもう少し複雑なようだ。今のところ、録音テープが断片しか出ていていない。全体像はこれから解明されるだろうが、現時点ではまったく分からない状態だ。

私は昔、ある女子学生のセクハラの訴えの担当となったことがあった。その学生の訴えを数名の男女の教員で対処した。聴き取りは女性の教員が担当して、私は主に書記として、記録係だった。

その女子学生はある職員とよく相談をしていた。しかし、相談のたびに馴れ馴れしい態度を取られて気持ちが悪いとゼミ担当の教員に訴えた。事情を聞いてゆくと、福田次官ほど露骨な言い方ではないが、職員はセクハラとも解釈されうる言動を行っていたようだ。何回か、事情を聞く内に、イメージがつかめるようになり、そのイメージに沿って報告書をまとめていった。

しかし、あるときに、女子学生が、「職員の方ともう会えないと思うと寂しい」と泣き出した。職員を気持ち悪い人だと思っていたと同時に慕う気持ちもあったようだ。再度、詳しく聞いたのだが、本人自身もどちらが自分の気持ちか分からないようだった。

そんなこともあり、結局は、その職員は解職とはならずに、叱責処分にとどまった。職員は軽口のつもりで話しても女子学生は重く受け止めたのかなと思った。

はっきりとセクハラ認定できる事件もあるが、グレイゾーンである例も多いようだ。とにかく、セクハラ事件が起こったら、両者の説明をじっくりと聞く必要があるだろう。また、男は常習的にセクハラをしているかを調べることも必要だ。周りの多くの人から関連する情報を集める必要がある。そんなことから、福田次官のセクハラ問題も事態の進展によっては、裏の裏があるのかなとも思ったりしている。

さて、大学でも、女性の教員も数も増えてきている。大学の女性教員はその点では意識が高い人が多い。セクハラを受けていると感じる学生や院生は、学内の信頼できる女性の教員に相談するのがいいのではないか。警告だけでも相手には伝わることが大切だ。