今日のYahooニュースは、読売新聞のニュースを転載しているが、以下のような記事があった。

日本私立学校振興・共済事業団(東京)は29日、私立大・短大など計914校を運営する全国662法人を対象にした2017年度の経営診断結果をまとめ、各法人に通知した。

 経営困難な状態にある法人は103法人(15・6%)で、16年度より1・4ポイント減ったが、経営状態に問題がない法人の割合も減少した。事業団は「私大の経営環境は依然厳しい」と指摘している。

 事業団は各法人の15~17年度の財務データを分析した。その結果、20年度末までに破綻する恐れがある「レッドゾーン」は17法人(2・6%)、21年度以降に破綻の恐れがある「イエローゾーン」は86法人(13・0%)で、計103法人が経営困難な状態だった。

注目されるのは、20年度末までに破綻する恐れのある大学が17法人あるということである。その名前は公表されているのかどうか分からないが、でもだいたいの名前は見当はつく。地方の新しい小規模の大学であろう。

大都市の有力私大を除いては、どの私学も生き残りに必死であろう。とにかく、人件費を減らさなければならない。そのためには、教員が退職したら、できるだけ補充を押さえて現職の教員で補うようにする。非常勤講師を一人やとうならば、一コマで一回5000円支給だとすると、現存の教員には増担手当(一コマ2000円ぐらい)をだして、現存教員の授業数を増やした方が安上がりだ。

職員の退職も補わない。職員の事務の仕事も教員が受け持つようにして調整を図っている。いずれにしても、大学の教員、特に地方の弱小の大学の教員の仕事のブラック化がいちじるしい。

学部の学生の減少を大学院の学生の増加で補おうとする大学もある。すると、博士課程を修了する学生の数も増えてくる。大学教員を目指す若者の数は増えてくるが、彼らを受け入れる門はだんだんと狭くなってきている。

私が大学の教員になった頃、今から30年ほど前だが、需要はほどほどあって、供給もいまほど多くはなかった。比較的楽に大学教員になれた時代だ。しかし、今は、需要が減り、供給はますます増えていて、希望者間のラットレースがますます激しくなっている。

では、どうするのか?こんな時代なのだが、どうするのか?諦めて他の道を探すのも一つの方法である。でも、諦めないであくまで大学教員を目指すならば、ラットレースを勝ち抜く精神力と行動力を付けるべきである。つまり、論文をますますたくさん書いて、どんどん学会で発表して、懇親会に出てできるだけ多くの人に会って名刺を配る。学会では、できるだけ質問をする。質問するときは、所属と名前をいうので、鋭い質問をすると自分の名前を出席者の人々に覚えてもらえる。指導教官はできるだけ有力な人をえらぶ。そしてその人に可愛がってもらうように努力する。どんどん公募に応募する。そんなところだろう。

いままで、先輩たちがしてきたことを、もっともっと気合いを入れて行うだけだ。学問の道を追求したいという理想はひとまず置いておくことだ。大学に籍を置かないことには、自分の理想する生活が始まらないのだ。