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先般、都心の大学に勤めている何人かの教員と雑談をした。都心の大学では65歳定年が増えているそうである。これは全国的な傾向であった。昔は、70歳定年の大学も幾つかあったが、最近は65歳定年ばかりになってきた。ただ制度上、急に70歳から65歳に下げるわけにもいかないので、1年ごとに1歳ずつ定年を下げていったりと、経過措置を取る大学が多い。

もう一つの傾向は、それまでは65歳定年の後も、特任教授でさらに5年ほど働けたのだが(もちろん給料は大幅にダウンするのだが)、特任教授の制度がなくなってきている。つまり65歳を過ぎれば、お払い箱だ。

その場合でも、非常勤講師で数コマは何年かは教えられたが、非常勤講師でさえも、65歳定年をひく大学も出てきたそうだ。

大学の教員には、大学を卒業してからすぐになれるわけではない。修士時代、博士時代、それから何年かの非常勤講師時代を経験して大学の教師になる人が多い。年齢的には、30代の半ばから後半だろうか。それでも、大学教員になれば、なんとか70歳ぐらいまで働けたので、生涯収入は、一般の会社員よりも多い場合があった。

ところが最近は、なかなか教員になれない。なったとしても65歳で退職である。大学の同期が22歳で働き始めて、60歳で定年退職、それから65歳まで嘱託で働いているとしたら、その人たちと比べて、金銭的には大幅に損をしている。さらに年金をかけていた時期が短いので、その分年金を受け取る際にも不利になる。

2018年問題がよく教育界では話題になる。これからますます各大学の経営は、特に地方の私立大学であるが、ますます苦しくなってくる。高齢の教授像は、マスコミによく登場するような花形教授は除いては、早めに舞台からの退場を迫られるのだ。そして、比較的に安く雇用できる若手の講師が採用される。大学当局は、学生とも比較的に年齢が近くて、学生のお兄さん役、お姉さん役をやってくれる人を欲しがるのだ。学生を引率する出張なども若い人ならば二つ返事で引き受けてくれる。

週刊現代2017-09-05号より http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52268?page=5

いずれにせよ、2018年問題に直面して、各大学は人件費の削減に躍起である。高給料の老教授には早く去ってもらいたい、というのが大学の経営陣の本音であろう。

そんな現状の中、それでも大学教授を目指す人は、卒業後にすぐに就職したクラスメートと比べて、生涯の収入においてはかなり少ないかもしれないことをよく考えて今後の人生計画を組み立ててほしい。