自分は定年退職が間近かである。定年退職後も働きたいと仕事を探していた。そしたらある大学が興味を示してくれて、話が進んでいった。昨年のうちに採用に関する委員会では承認されたのだが、教授会の決定を待って正式採用となる。新年になって新年第一回目の教授会で採用が承認されたそうだ。今度の4月から特任教授として働くことになる。

一つの問題がある。退職後の自分の仕事の展望が見えていない時点で、色々な人にお願いして次年度からの非常勤講師の仕事の予定をもらったのだ。定年退職後もある程度の収入を得たいと色々な人にお願いをしていた。新たに非常勤講師の仕事の予定で、今までの分も入れて全部で7コマほどになる。

しかし、正式な教員として働くとなるとそれらは断わざるをえない。地理的に近ければいくつかは兼任することもできる。しかし、特任教授として新たに働く大学は地理的に離れたところにあり、非常勤講師の仕事は全て断るざるを得ない。

知人や友人に頼み込んで見つけてもらった仕事だ。シラバスも書いてしまったし、これから断りを入れるのは非常に心苦しい。しかし、連絡をしないわけにはいかない。

その連絡に対して、ある知人は「正規の仕事が見つかったのならば、それはめでたい」と祝福してくれた。ある知人は困った顔をした。私の代わりの非常勤講師を、この私が見つけるようにと返事してきた。それで私は慌てて色々な人にメールを打って代わりの人を探している。

知人たちは正規の仕事を見つけることが難しいことを知っているので、あからさまな苦情は言わなかったが、心の中は、「せっかく非常勤講師の仕事を見つけてやったのに、無駄になった」と舌打ちをしていると思う。

申し訳ないと思うが、こちらも生きていかなければならない。定年退職して生活のレベルを大幅に下げるわけにはいかない。収入の大幅低下は家内がうるさいので何とか避けたいのだ。

何だか、生きていくのに精一杯で研究どころではない、というのがこの一年の正直な感想だ。