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年末(2017-12-31)の読売新聞に私立大学の多くが定員割れで経営困難な状態であるとの報道が現れた。
私立大・短大を運営する全国660法人のうち112法人(17%)は経営困難な状態にあることが日本私立学校振興・共済事業団(東京)の調査でわかった。
このうち21法人は経営を改善しないと、2019年度末までに破綻する恐れがあるとしている。18年以降は18歳人口が再び減少局面に入り、経営環境の一層の悪化が懸念される。
これは、以前から報じられたことであるが、2018年問題と深く関係する。大学設置基準の大綱化と言われていることだが、文科省は1991年の大学設置基準の改正により、大学に対する規制は大幅に緩和することになった。大学の新設が比較的容易になり、また既存の大学の改組が積極的に行われるようになった。
これ以降は、次から次と大学が新設されて、大学同士の生き残り競争が激しくなり、教員は研究よりも、学内の事務処理の仕事、学生への教育指導、入試の回数の増加、AO入試、自己評価などの仕事が増えたのである。これにより、特に私立大学の教員は事務量が激増して、さらに業績を出すことが求められて、中身のない単に量を目指すような論文が増えてしまった。
この改革は長所もあったが、短所としては日本の大学の学問的な水準を大きく下げたことだろう。論文を書くことが質よりも量へと関心が移ったのである。まだ過去の蓄積があるので、日本の学問的な水準はある一定の基準は確保しているが、今後は次第に衰退して行き、日本の学問の繁栄は過去のことになるだろう。
私立大学では、いままでは公募で教員募集をしていたところも、煩雑な手続きを行うだけの余裕がなくなり、コネで採用が決まることが多くなってきた。管理職を担当している教員のコネから選ばれることが増えた。
こんな時代に大学の教員を目指すには、何とかそのコネにたどりつけるように活動する必要がある。大学院で指導教員を選ぶときは、できるだけ有力な先生につくとか、学会発表を大学院の時から心がけること、懇親会で、これはと思う先生がいたら、挨拶をしておくこと、これらのことが必要になる。
これらはあまり品のいい話ではない。ご海容願いたい。だが、現実は多くの研究職希望者の幻滅につながるように動いている。むかしほど大学教員の地位は安泰ではない。会社などで研究職の仕事が得られるならば、そちらを検討することも一つの方法である。