今は夏休みである。来年の4月1日から働くことがほぼ確定して一安心という人もいるだろう。あるいは、「お祈りします」という返信だけが来るので気が滅入っている人もいるだろう。40歳前後になれば、なかなか採用通知をいただけないと本当に焦るであろう。

次から次と若手の新人が就職市場に乗り出してくる。大学院の時の後輩がいち早く就職を決めたと聞くと、素直に祝福する気持にはなれない。これは人間の本音だ。

多くの人が大学の教員への就職難を感じているであろう。しかも、これは年々程度をましているように感じられる。

先日、twitter を見ていたら次のような表を見つけた。出典は舞田敏彦氏が作成した表である(https://twitter.com/tmaita77/status/956768621404958723)。

博士課程修了者の就職率

1985年当時は博士号が光っていた時代だと思う。工学関係だと博士号があると半分近くが就職できたのである(なお、上記の表で、博士課程だけを修了して博士号は未取得の人の数字は含まれているのか気になるが、その場合もこの表は含めているようだ)。

人文科学の分野でも、1985年頃には、3割が就職できたのに、2012年では、わずか5%である。大学の教員を目指して、博士課程で一心不乱に勉強しても必ずしも報われるとは限らないという現実がある。この何十年という間に、大学の数が増えて、修士課程や博士過程の数も増えた。大学院担当する教員は進学者がゼロだと、大学院手当が当たらない。そのために、無理をして大学院への進学を勧めるケースもある。指導教官のそんなアドバイスにうかうか乗ってしまったら、大変なことになる。

どうしたらいいのか。とりあえず、何か定職を確保することだ。どこかの研究所の研究員や中学や高校の教員となって、いったん職を確保する。それから論文をこまめに書き上げて応募を繰り返す。その方法が安全かなと思う。40歳近くになっても、非常勤講師の掛け持ちの連続で、その後も、共済年金の掛け金を払うことなく、老年を迎えると、それこそ、人生が詰んでしまう。