いくつかの大学を経験すると民主的な大学運営がされている大学とそうでない大学の二種類があることに気づく。

民主的な運営がされている大学では、教員の採用は教授会の専決事項であり、理事長をはじめとする経営陣が口を挟むことはあまりない。Jrec-in 経由で募集をかけるところは民主的な運営がされている大学が多い。そのために、採用は比較的公平にされると考えられる。

ただ、民主主義は時間がかかる。教授会も長い時間がかかる。効率は悪い。民主主義は派閥の対立が生まれやすい。教員の採用が自派の勢力を伸ばすことに利用される場合がある。でもとにかく採用関係の担当者を納得させるだけの業績は必要である。

理事長が重要事項を決める大学、まあ「非民主的な大学」と言っていいかもしれない。ここは動きが早い。新しい学部を立ち上げると決めたら、あれよあれよという間に立ち上がってしまう。そのスピードはすごい。この場合は募集などという緩やかな方法ではなくて、各種のコネを使って色々な人に声を掛けるのだ。いいコネを持っている大学ほど優秀な人が集まる。時には、全く業績がない人が選ばれることもある。

ある程度の業績を持っている人は、Jrec-inなどに応募するのも手だが、コネを作るためにも学会活動は欠かせない。論文を投稿して、学会発表をする。自分が聴衆として人の発表を聞いたら「上手な」質問をして人に存在感を与える。懇親会は積極的に参加して、顔を売っておく。学会の雑務に積極的に参加する。論文集を出すときは、何とか入れてもらう。つまり、研究以外のことをしなければならない。これが面倒くさいのだ。

ただ、研究だけをしていれば、いつの間にやら世間がその人を発見してくれて、大学への就職の道が開けることは、、、皆無ではないにしても稀であろう。