今日は微妙なトピックを考えてみたい。「美人は採用の時に得をするか」である。

まず、女子大生の就職について考えてみたい。自分のゼミ生の就職だが、長年、教員をやってきたので、ある傾向に気づく。それは美人が採用されやすいということだ。

自分のゼミ生たちに関しては、その学生がどんな人物かは知っている。ある女子学生は、レポートの提出はいい加減で、卒論の中間発表の大会はサボる。授業中は私語が多いし、試験もふるわない。でも、可愛いくて愛嬌のある顔をしている。その学生は就職シーズンに入ると早々と複数の企業から内定をもらった。自分のゼミ生の中で、内定の一番乗りなので、自分もちょっと驚いた。だが、この学生、怠け者で、卒業に必要な単位を落としてしまった。内定は当然、取り消しである。

さて、この学生、次の年の就職シーズンは苦戦するかと思ったら、また早々と大手の会社に就職を決めてしまった。数年後に、その会社の人と話す機会があり、「彼女の勤務ぶりはどうか?」と聞くと、数年勤務していたが、結婚退職をしたということだ。就職も結婚もスムーズな学生がいるのだな、と私は感じ入ったのだ。

別の女子学生だが、この学生はいつも生意気な態度で人に接しており、私の苦手のタイプであった。当然、仲間の学生にも高慢な態度であった。ただ、かなりの美人であった。さて、そんな彼女だが、就職シーズンになり、就活を始めることになった。就職の面接の時には彼女はどんな態度で面接担当者と受け答えするのか心配であったが、これまた、直ぐに内定をもらってしまった。面接の時には、彼女は猫をかぶっていたのかもしれない。

こんなことをよく見聞きする。ある女子学生、まじめでコツコツ型である。レポートも卒論も手堅く、よく考察してあり、企業でも大きな戦力になるだろうと思われる学生であった。ただ、ちょっと地味な感じな学生であった。なかなか内定をもらわないと嘆いていた。いろいろと頑張った結果、秋深まってから、ようやく就職先が決まった。何社も面接で落ちたことを知っていたので、私も本当にホッとした。

あるときに、女子学生からこんな質問を受けた。「美人は就職に有利ですか?」という質問だ。私の答えは、「美人だからと有利なことはない。企業の人事採用の担当者は、長年人間を採用してきたので、表面的なことでは判断しないで、人の本質で判断してゆく。その人のやる気、素質を見ていく。その意味で、人事担当者の眼光は信頼した方がいい。ただ、少なくとも、清潔感は出すように、面接の時には、だらしない格好はよくない」というような答えだ。「美人は就職に有利ですか?」という質問を受けたら、大多数の大学教員は、こんな風に答えるだろう。

さて、大学教員の採用の時、女性の教員の採用の時には、どうなるか。採用する側は、「一緒に楽しく仕事ができる人」を選ぶようだ。さらには、「学生から受けがいいかどうか」も考慮するだろう。ノーベル賞級の実績を持っていれば、即、採用であろうが、そんなに能力の変わらない凡百の候補者たちの中から選ぶとすれば、やはり業績以外の要素も関係してくる。

採用の時には、男性を採用するか、女性を採用するかも、面接の担当者たちは考える。女子大学ならば、ある程度の女性の教員の数は確保したい。理系の大学でも、男女両方に対して開かれた大学である姿勢をアピールするためにも、女性の教員を採用したい、などいろいろな思惑があろう。

そんな中で、自分が見てきた範囲では、やはり教員の採用でも、美人の方が有利なように感じる。面接担当者は男性が多いからだ。このあたり、男性だけでなくて、女性の面接担当者にも、採用に、積極的に関与してもらえれば、より公平になると思われる。