大学教授になるには

特任制度が廃止されつつある。


大学教員の一つのうまみは特任制度である。65歳で定年になっても、数年ほどさらに働ける。うまく行けば、70歳や72歳まで働く機会が与えられることが多かった。もちろん、給与水準は下がり、個人研究費やボーナスの支給がなくなる。それでも年収で500万円ほどはもらえた。そんな有り難い制度がどうやら廃止されつつある。非常勤講師までも65歳定年制を導入している大学も増えていると聞く。

これから大学教員を目指す人は、生涯働ける期間を計算する必要がある。ながらく非常勤講師を経験してから、35歳で初めて大学教員になったと仮定しよう。65歳で定年退職ならば、30年間の勤務である。35歳までは国民年金には入っていただろうが、共済年金制度には、35歳から加入することになる。30年間働いてもらえる共済年金は少ない。月あたり20万円いかないのではないか。

これに、もしも、40歳ぐらいで家を購入したとする。たいていは35年ローンである。すると75歳までで返済が続く。3,000万円ほど借りて、毎月7万円ほどの返済をしていたら苦しくなる。

大学時代の同期のクラスメートは多くは22歳で会社つとめをしているはずである。60歳で定年退職で、38年間の勤務だ。38年間働いて厚生年金をもらえるのだ。かなりの金額のはずだ。会社に嘱託制度があれば、さらに65歳まで働ける。

大きな会社には企業年金制度がある。厚生年金とは別立てで企業年金をもらえるのだ。手厚いサポート体制がある。そんな人は、家の購入も結婚も出産も大学教員よりは早めに行うだろう。

同僚を見ていると、大学教員に正式になるのは、30代の中頃、すると結婚も遅くなり30代の後半だ。家の購入もその分遅れ、子どもの面倒をいつまでも見ることになる。金銭的にはかなりきついことになる。

そんな人は、退職後は何か仕事を見つけると意気込んでいても、ビジネスの経験のない人が何か仕事をしてもうまく行くわけがない。要は、自分も含めて、大学教員は世間知らずなのである。

そんな話しで、あまり明るい話ではないので申し訳ない。要は一生の人生設計を考えるならば、早めに大学教員の道を諦めることも必要だということを述べておく。