大学教授になるには

大学教授の給料


北海道大学の大学院の法学研究科の先生が自分の給料を公開した。そのことが話題になっている。その先生は手取りは約700万円である。源泉徴収票を公開して、世に国立の大学教授の給料は安いということをアピールしているようだ。

大学がこの教授に払った金額は1000万円ほど。ただし、そこから保険料と源泉徴収が引かれて700万円ほどになる。よく見るとこの先生は大学院の先生である。大学院を受け持つと給料が10%ほどアップする。大学院を担当している先生で、この給料ならば、これは少なめだなという感想を持った。

私は私学を複数経験してきた。国立大学で教えた経験はない。ただ、ある国立大学から関西の有名私大に移籍した先生と話しをする機会があった。「私大の給料は多いという話しは聞いていたが、これほどまでも自分の給料がアップするとは思っていませんでした」と喜びの声を上げていた。そんなことから判断すると私大の方が給料はいいのだろう。また、自分が47歳の時は、この北大の先生よりも給料はよかったように記憶している。

ただ、だからと言ってみんな私大に移籍すべきということにはならない。私大はどこも生き残りに一生懸命で勤務が厳しくなっている。コマ数も国立大学よりもはるかに多い。また、国立大学の学生は優秀な学生が多くて、さほど世話がかからない。全部自分で始末してくれるので、教員は単にアドバイサーということでいい。その点、勤務は楽である。

それゆえに、国立大学の先生は研究に打ち込める。教えるコマ数は少ない。自分の学生を研究の下調べに使える。あるいは、学生の卒業論文、修士論文、博士論文などを読んでいくうちに自分の研究へのヒントを得られる。私立の名もなき大学の学生の論文だと、そもそも論文の形式が整っていない。文の書き方から教える必要がある。その意味では初期的な指導で疲れ果ててしまう。

国立大学の先生だと、科学研究費を申請すると採択される可能性が高いという。研究分担者としていくつかの研究に名前を連ねておくと、毎年、どこからか科研費をもらうことができる。科研費はもちろん研究にしか使えないが、それでも科研費があるとないでは、研究の深みに相当な違いにでてくる。

結論的にいえば、研究が目的ならば、国立大学に行き、お金を重視したいならば、私立大学に行くことになる。(とても単純化して言い方で語弊があるが、その点はご容赦願いたい。)